人形劇 かわせみ座

富士山の温泉旅行に出掛ける前に、友だちあいちゃん親子と母と観た人形劇、シャープなところをついていて、すごく心に残った。

数年前の香港公演以来ファンになった「かわせみ座」の、30周年記念公演。題して「まぬけな竜の話」

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いまウェブ検索したら、原作者の息子さんのブログを発見。ストーリーがわかりやすく書いてあるので、ひと言断って以下に転写します。 なんと35年前に書かれたお話だそう。

物語は、昔々のある国の山深い村のお話。

その村には一匹のリュウが住んでいました。

そのリュウはとてもおとなしい、ちょっとまぬけなリュウでした。

いつもは杉林の下に生えた笹や草を食べていました。

村人は杉林の手入れをしなくて済むので重宝していましたが、リュウの吐く息がとても臭く、馬鹿にしていました。

それでも、リュウは村人がとても好きでした。

祭りがあってお囃子が鳴ったりすると、勢いよく踊り出して、思い切り木に頭をぶつけて気絶して、また、村人たちに馬鹿にされたりしていました。

そんなリュウにもようやくひとりだけ友達ができました。

つばきちゃんという女の子です。

二人はとても仲良くなりましたが、大人たちがなかなか理解してはくれません。

そんなある年、梅雨が終わっても雨が降り続き、そのまま夏が過ぎ、作物は一切とれませんでした。

村人は困り果て、町のお侍に陳情に行きましたが、なかなか取り上げてくれません。そこで村人は村に悪いリュウがいて、暴れて作物を食べつくしてしまったんだと嘘をついてしまいます。

するとお侍は「じゃあそのリュウを退治して爪をもってきたら褒美に食べ物をあげよう」と言います。

村人たちは、今度はリュウをだまして、それでも「勘忍なあ」と言いながら後ろ足全部の爪を切り落とし、その結果たくさんの食べ物をもらいます。

リュウは爪を切られてしまい、後ろ足で歩くことができなくなり、すっかりやつれて、村の寺の裏で枯れ葉にくるまって過ごしていました。

足は腐り、ますます悪臭を放ちましたので、村人は近寄りもしませんでした。

それでも、つばきちゃんだけはリュウを嫌いません。二人は友達でした。

翌年、今度は干ばつが村を襲います。

村人は幾日も幾日も雨乞いをしますが、なかなか雨が降りません。

そんな村人の様子をリュウは悲しそうに見つめていました。

まったく雨が降らず、限界がきた村人たちは村を出ることにしました。

皆で村を出て、谷に差し掛かった時、なんと今まで枯れていたはずの谷にきれいな水が流れています。

村人たちは、一心不乱に水を飲みました。

「神様のおかげだー」

そして、村を出てゆくことをやめました。

村人たちが落ち着いてくると、水が変なにおいを放っていることに気が付きます。

「この匂いはあいつだ!」

村人たちは怒りながら谷をさかのぼります。

国境近くの山の上。

きれいな沼がありました。

リュウはそこにいました。

しかも沼の底から、大きな石を残った前足の爪で掘り起こしいます。

爪はねじれてしまい、ボロボロです。

その沼をリュウは村人の為に掘ったのでした。

さて、村人たちは沼にあがってきました。

沼に浸かっているリュウを見て

「なんちゅうことをしとるんじゃー」

「わしらのきれいな沼が台無しだー」

といって、リュウを谷に追い落としました。

リュウは大きな目で何度も何度も村人を振り返りながら、悲しく悲しく啼き続けました。

その声は風の音に混ざりあい、かなしく谷をこだましました。

ラストシーン。

どこかの山奥のきれいな滝。

そこにリュウがいました。

爪はすべてそろっていて、元気な様子です。

そして、その背中につばきちゃんが乗っています。

リュウは天に昇ってゆきました。

(続く)

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